トラックのリミッター(速度抑制装置)は、車両の最高速度を制限する装置のことです。
特に、大型貨物自動車(トラック)では、安全性や燃費向上、環境対策のために装備が義務付けられています。
ここでは、その仕組みや種類、規制について詳しく解説します。
目次
トラックのリミッターの目的
交通安全の確保
- 大型トラックは一般車両に比べて質量が大きいため、速度が出すぎると制動距離が長くなり、事故のリスクが高まります。
- 速度を一定に抑えることで、ドライバーの無理な運転を防ぎ、安全運転を促します。
環境対策
- 燃費の向上(一定速度を保つことで燃費が改善)
- CO₂排出量の削減(急加速・高速走行による排出量の増加を防ぐ)
車両の耐久性向上
- エンジンやブレーキの負荷を減らし、車両の寿命を延ばす
- タイヤの摩耗を抑える
トラックのリミッターの仕組み
リミッターは、エンジンや燃料噴射系、電子制御ユニット(ECU)を制御して速度を制限します。
以下のような方法が一般的です。
電子制御式リミッター
- ECU(エンジン・コントロール・ユニット)が車速センサーからの情報を受け取り、一定速度(例: 90km/h)を超えた場合に燃料供給を制限。
- これにより、エンジン出力を抑え、速度が設定値を超えないようにする。
燃料噴射制御
- ディーゼルエンジンでは、燃料噴射量を減らして速度を抑える。
- 燃料供給を制御することで、速度の上昇を抑える仕組み。
スロットル制御
- アクセルペダルの信号を調整し、スロットルバルブの開度を制限することで速度を抑える。
- 最近の電子制御スロットル搭載車では、この方式が主流。
点火時期制御(ガソリン車向け)
- 点火時期を調整してエンジン出力を制限する方式。
- ディーゼル車よりもガソリン車で採用されることが多い。
日本における法規制とリミッター設定
法的義務
日本では、大型貨物自動車に対して速度リミッターの装着が義務付けられています。
- 適用対象: 最大積載量5トン以上、または車両総重量8トン以上の大型貨物自動車
- リミッター設定速度: 時速90km/h(法令で定められた上限)
これは、2003年(平成15年)に導入され、2004年9月1日以降に新車登録される対象車両に装着が義務付けられました。
一般車両との違い
一般車両(乗用車や小型トラック)にはリミッターが義務付けられていませんが、一部のハイパフォーマンス車両(スポーツカーや高級車)では180km/hなどの速度制限がかかる場合があります。
リミッター解除は違法?
違法性
- トラックのリミッターを解除することは、日本の道路交通法および保安基準に違反します。
- 速度リミッター解除は「不正改造」に該当し、厳しい罰則が科されることがあります。
罰則
- 違反した場合、整備命令が出される可能性があり、改善されなければ車両の使用禁止処分となることもある。
- 事業用トラックの場合、運送会社全体に行政処分が下される可能性もある。
最近の技術とリミッターの進化
近年のトラックでは、単なる速度制限だけでなく、より高度な運転支援システムと連携することが増えています。
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)との連携
- 一定の速度を維持するだけでなく、前方車両との距離を保つ機能が統合されることが一般的。
GPSベースのリミッター
- 一部の最新モデルでは、地図データを活用して制限速度に応じた速度制御が可能。
- 例えば、高速道路と一般道で異なる制限を自動で適用。
テレマティクスシステム
- 運行管理システムと連携し、運送会社がドライバーの運転状況をリアルタイムで監視し、速度超過を防ぐ。
まとめ
- トラックのリミッターは、速度を90km/h以下に抑えるための装置で、燃料噴射制御やスロットル制御によって動作する。
- 日本では、大型貨物車両(最大積載量5トン以上)に対してリミッター装着が義務化されており、速度解除は違法。
- 近年はACCやGPS制御と組み合わせた高度な速度管理システムが進化しており、単なるリミッターではなく安全運転支援の一部として活用されている。
トラックのリミッターは、安全性や環境対策の観点から非常に重要な装置です。
今後はさらに進化し、自動運転技術と組み合わさることで、より効率的な運行管理が可能になると考えられます。
以上、トラックのリミッターの仕組みについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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