アドブルー(AdBlue)は、ディーゼルエンジンの排ガス処理システムであるSCR(Selective Catalytic Reduction:選択的触媒還元)に使用される尿素水溶液です。
これが無くなると、トラックのエンジン性能や運行に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
アドブルーの役割
アドブルーは、ディーゼルエンジンから排出されるNOx(窒素酸化物)を削減するために使用されます。
SCRシステムを搭載したトラックでは、排気ガス中にアドブルーを噴射し、化学反応によって無害な窒素と水に分解します。
これにより、環境規制(Euro 6や日本のポスト新長期規制など)をクリアするための重要な役割を果たします。
アドブルーが無くなったらどうなるのか?
アドブルーが完全になくなった場合、以下の影響が発生します。
エンジンの出力制限がかかる
トラックのECU(エンジン・コントロール・ユニット)は、アドブルーの残量を監視しており、アドブルーが不足するとエンジンの出力を低下させる制限モードに入ります。
- 初期段階(警告レベル)
- ダッシュボードに 「AdBlue不足」 の警告が表示される。
- アドブルーを補充しないと、出力制限が始まる。
- 完全に枯渇した場合
- エンジンの出力がさらに制限される。
- 最高速度が20~30km/hに制限 されることもある。
エンジンが再始動できなくなる
アドブルーが完全に無くなった状態でエンジンを停止すると、次回エンジン始動時にロックがかかり、エンジンがかからなくなることがあります。
これは、SCRシステムが正常に作動しない状態では排ガス規制をクリアできないため、意図的に制御されているものです。
- アドブルーを補充しない限り、エンジンを再始動できない可能性が高い。
- メーカーや車種によっては、補充後も診断機(OBD)によるリセットが必要な場合がある。
環境規制に違反し、罰則を受ける可能性
日本や欧州などの国では、アドブルーを使用しない状態での運行は環境規制違反と見なされる場合があります。
- 車検に通らない
→ SCRシステムが正常に作動していないと、排ガス検査に合格しない可能性がある。 - 道路運送車両法違反のリスク
→ 環境基準を満たしていない車両での走行は罰則を受ける可能性もある。
アドブルーが減るとどうやって分かる?
トラックのアドブルー残量は、ダッシュボードのメーターや警告灯で確認できます。
- 通常、残量が約20~30%を切ると警告灯が点灯する。
- 10%以下になると「補充してください」などのメッセージが表示される。
また、メーカーや車種によっては、残量の具体的な数値が表示されることもあります。
アドブルーが無くならないようにするには?
定期的な点検・補充
- 燃料補給のタイミングでアドブルー残量を確認する習慣をつける。
- 長距離運行時は、予備のアドブルーを積んでおくと安心。
アドブルーの適切な保管
- 直射日光や高温を避けて保管(推奨温度:0~25℃)。
- 使用期限があるため、古くなったアドブルーは使用しない(通常は製造から1~2年以内)。
急なアドブルー切れに備えて補充方法を知っておく
- ガソリンスタンドやディーラーで補充できる場所を確認しておく。
- アドブルーの補充は簡単だが、専用タンクに入れる必要がある(燃料タンクに混入すると故障の原因になる)。
まとめ
アドブルーはSCRシステムを正常に動作させ、排ガスをクリーンにするために不可欠。
無くなるとエンジン出力が低下し、最悪の場合エンジンが再始動できなくなる。
環境規制違反となるリスクもあるため、適切に補充・管理することが重要。
アドブルーの残量はダッシュボードの警告灯やメーターで確認可能。
長距離運行時は予備を準備し、定期的に点検・補充する習慣をつけることが大切。
トラックを運行する上で、アドブルーの管理はとても重要です。
日常点検の際に意識し、突然のトラブルを防ぐようにしましょう!
以上、トラックのアドブルーが無くなるとどうなるのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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