トラックのギアチェンジは、乗用車とは異なり、エンジンのトルクを活かした運転が求められます。
特に4t以上のトラックでは、ギアの段数が多く、シンクロなしのギア(ダブルクラッチが必要)や高低段切替(スプリッターやレンジ)があるため、正しい操作を覚えることが大切です。
目次
トラックのギアの基本
ギアの種類
トラックのトランスミッションは、以下のように分類されます。
- MT(マニュアルトランスミッション)
- 5速、6速、7速、8速、10速などの種類がある。
- シンクロなしのギアがある場合、ダブルクラッチが必要。
- 高低段切替(スプリッターギアやレンジギア)がある。
- AMT(セミオートマ)
- クラッチ操作が不要で、コンピューターが最適なギアを選択する。
- いすゞの「スムーサーG」、日野の「プロシフト」などがある。
- AT(オートマチックトランスミッション)
- 一部のトラックで採用されているが、MTよりも燃費が悪いことが多い。
- 発進時にトルクコンバーターを使用。
ギアチェンジの基本テクニック
発進時のギア操作
トラックは1速(ローギア)または2速から発進するのが一般的です。
- 軽い荷物なら2速発進も可能。
- 重い荷物(満載時)は1速発進が基本。
- クラッチを急に繋ぐとショックが大きいので、ゆっくりとつなぐ。
シフトアップのコツ
- 適切な回転数でシフトアップする。(例:1500〜2000rpm)
- クラッチをしっかり踏み、ギアを滑らかに入れる。
- 荷物が重いときは高めの回転数でシフトアップ。
- 高低段切替がある場合、スプリッターやレンジ切替を忘れずに操作する。
シフトダウンのコツ
- 早めのシフトダウンが基本(トルクを活かすため)。
- エンジンブレーキを使うためにも適切なギアを選択。
- 荷物が重いときはより低いギアへ(3速 → 2速など)。
- ダブルクラッチ(後述)が必要な場合、適切に回転数を合わせる。
ダブルクラッチのテクニック
シンクロ機構がないトラックではダブルクラッチを使用します。
ダブルクラッチのやり方
- クラッチを踏んで、ニュートラルに入れる。
- クラッチを戻して、アクセルを軽く踏み回転を上げる。
- 再度クラッチを踏み、ギアを入れる。
- クラッチを戻して加速する。
ダブルクラッチのポイント
- シフトアップ時は軽く回転を落とす。
- シフトダウン時はアクセルを煽って回転を合わせる。
- 特に低速ギア(3速→2速など)では慎重に操作する。
- 慣れないうちはニュートラルで一瞬止める時間を長めにとるとスムーズに入る。
高低段ギア(スプリッター・レンジ)の使い方
スプリッターギア(Split Gear)
- 各ギアの間に「高・低」を設定できる機能。
- 例えば「4速(低)」→「4速(高)」→「5速(低)」のようにシフトする。
レンジギア(Range Gear)
- ギアの段数が多いトラック(8速・10速など)に搭載されている。
- 1~5速の後、スイッチを操作して6~10速に移行する。
スプリッター・レンジの活用方法
- 荷物が重い時は低段を使って加速。
- 坂道ではスプリッターを活用し、最適な回転数をキープ。
- 高速道路では高段で燃費を向上。
特殊な状況でのギアチェンジのコツ
坂道発進
- サイドブレーキを使ってズリ下がりを防止。
- 低速ギア(1速や2速)で発進。
- クラッチを半クラッチ気味にしてじわっと繋ぐ。
下り坂
- 早めに低いギアにシフトダウンし、エンジンブレーキを活用。
- ブレーキを多用しすぎるとフェード現象(ブレーキが効かなくなる)に注意。
- リターダ(補助ブレーキ)がある場合は積極的に使う。
信号待ちからの発進
- 荷物が軽い場合は2速発進OK。
- 重い荷物のときは1速発進し、素早く2速へシフトアップ。
- エンジン回転数を一定に保つことでスムーズな加速が可能。
トラックのギアチェンジに関する注意点
- 回転数を意識する。(適正回転数は1500~2000rpm)
- クラッチの消耗を防ぐために半クラッチを使いすぎない。
- 重い荷物のときはギアの選択を慎重に。
- エンジンブレーキを積極的に活用。
- ダブルクラッチが必要な車両では、正確な操作を身につける。
まとめ
トラックのギアチェンジのポイント
- 適切な回転数(1500~2000rpm)でシフトアップ。
- 早めのシフトダウンでトルクを活かす。
- ダブルクラッチが必要な場合、適切に回転を合わせる。
- スプリッターやレンジギアを活用して効率的なシフト操作を行う。
- 坂道発進や下り坂ではギア選択を慎重に。
トラックのギア操作に慣れることで、燃費向上・クラッチ寿命延長・安全運転につながります。
運転の際には、常に回転数や荷重を意識して、スムーズなギアチェンジを心がけましょう。
以上、トラックのギアチェンジのコツについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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