トラックのクラッチのエア抜き作業は、クラッチ液(ブレーキ液)が入るライン内に混入した空気を除去し、クラッチ操作をスムーズにするために行います。
適切なエア抜きを行わないと、クラッチの作動不良やペダルの操作感に悪影響を及ぼすことがあります。
以下に、クラッチのエア抜きの方法を詳しく説明します。
目次
エア抜き作業を始める前の準備
必要な道具
- ブレーキ液(クラッチ液とも呼ばれる)
- 使用車両に適合したタイプを確認(例:DOT3、DOT4など)。
- スパナやレンチ(ブリーダーバルブに適合するもの)
- クリアホース(透明なホースで、空気と液体の状態を確認するため)
- ブリードボトル(排出液を受ける容器)
- ラグやペーパータオル(こぼれた液体を拭き取るため)
- 保護手袋とゴーグル(ブレーキ液は腐食性があるため、安全のため装着する)
エア抜きの手順
クラッチマスターシリンダーの確認
- ボンネットを開け、クラッチマスターシリンダーのリザーバータンクを探します(多くの場合、運転席の近くにあります)。
- タンク内の液量を確認し、適量(MAXラインまで)になるようにブレーキ液を補充します。
- フタを軽く閉めます(完全に締める必要はありませんが、汚れや異物の侵入を防ぎます)。
ブリーダーバルブの位置を確認
- クラッチレリーズシリンダー(スレーブシリンダー)の近くにあるブリーダーバルブを探します。
- 通常、トランスミッション側面や下部に設置されています。
クリアホースの接続
- ブリーダーバルブにクリアホースを接続し、もう一方をブリードボトルに差し込みます。
- ボトルには少量のブレーキ液を入れておくと、空気の逆流を防ぐことができます。
ペダル操作とバルブの開閉
- アシスタントがいる場合:
- 一人がクラッチペダルを踏む役、もう一人がブリーダーバルブの操作を担当します。
- クラッチペダルを数回「踏み込む→戻す」を繰り返し、圧力をかけます。
- ペダルを踏み込んだままの状態で、ブリーダーバルブを緩めて液を排出します。
- 空気が含まれた液体がホースを通じて出てきます。
- 液が出たら、再びバルブを締めます(この間、ペダルを戻さないように注意)。
- アシスタントがいない場合(ワンマン作業):
- ワンマンブリードツール(逆流防止機能付きのボトルやバルブ)を使用すると、一人でも作業が可能です。
- ツールを使用しない場合は、ブリーダーバルブを緩めてから踏み込み、戻す前にバルブを締めます。
リザーバータンクの液量を確認
- ブリーダーバルブを締めた後、リザーバータンクの液量を再度確認し、不足していれば補充します。
- 液量が少なくなると再び空気が混入する可能性があるため、液量が不足しないように注意してください。
繰り返し作業
- 空気が完全に抜けるまで、ペダル操作とバルブの開閉を繰り返します。
- 空気が抜けた場合、ホース内の液体が気泡を含まずにスムーズに流れる状態になります。
最終確認
- ブリーダーバルブをしっかり締めます。
- リザーバータンクをMAXラインまで補充し、フタをしっかり締めます。
- クラッチペダルを数回踏み込み、操作感がスムーズか確認します。
- ペダルの戻りが悪い、または軽すぎる場合は、再度エア抜きが必要です。
注意点
- ブレーキ液の取り扱い
- ブレーキ液は塗装を傷めるため、こぼした場合はすぐに拭き取ってください。
- ゴム部品にも悪影響を及ぼすため、液が漏れないよう注意します。
- 作業場所
- 水平で安全な場所で作業を行います。
- ジャッキアップが必要な場合は、適切にジャッキスタンドを使用してください。
- 工具の確認
- ブリーダーバルブを緩める際、工具が適切に合っていないとネジをなめる可能性があります。
- エア抜きの目安
- エア抜きが不十分だとクラッチが切れない、または操作が不安定になります。液体がスムーズに出るまで確実に作業を行ってください。
作業時間の目安
- エア抜き作業自体の時間: 約30分〜1時間
- 準備や後片付けを含めると、全体で1〜2時間程度かかります。
プロに依頼する場合
エア抜き作業は比較的簡単なメンテナンス作業ですが、不慣れな場合や車両が大型で複雑な場合には、プロに依頼することをおすすめします。
工賃は数千円〜1万円程度が一般的です。
適切なエア抜き作業を行うことで、クラッチの操作性や耐久性を大きく向上させることができます。
ぜひ安全第一で作業を行ってください。
以上、トラックのクラッチのエア抜きのやり方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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