トラックのエンジン付近から「キュルキュル」「キーキー」という高音の異音がする場合、多くはファンベルト(Vベルト)や補機ベルトのスリップが原因です。
これを「ベルト鳴き」と呼びます。
ベルト鳴きは放置すると最悪の場合、ベルトの破断やエンジンのオーバーヒートにつながることがあるため、早めの点検と対策が必要です。
目次
トラックのベルト鳴きの原因
ベルト鳴きの主な原因は以下のようなものがあります。
ベルトの劣化・摩耗
- 長期間使用すると、ゴム製のベルトが硬化し、滑りやすくなるため、異音が発生。
- ひび割れや細かい摩耗が進行すると、さらにスリップがひどくなる。
- 表面がツルツルになってくると、滑って異音が出やすくなる。
ベルトの張り不足(緩み)
- ベルトの張力が弱まると、滑りやすくなり異音が発生。
- 張りが緩いと、適切な動力伝達ができず、発電不足やウォーターポンプの回転不良にもつながる。
ベルトの過剰な張り
- 逆に、張りすぎるとベルトやプーリーに過度な負荷がかかり、異音が発生。
- 過度な張力はベアリングの寿命を縮め、破損のリスクが高まる。
プーリーの摩耗・汚れ
- プーリーの摩耗によってベルトとの接触がうまくいかず、滑りが発生。
- プーリーの汚れ(オイルやほこり)が付着すると、摩擦が減って滑りやすくなる。
テンショナー(ベルト張り調整機構)の故障
- テンショナーが壊れると、ベルトの張り調整が適切に行えなくなり、異音の原因となる。
- スプリングのヘタリやベアリングの劣化で調整が効かなくなることも。
雨の日・湿気の影響
- 雨の日や湿気が多いと、ベルトが湿って滑りやすくなり、一時的に異音が出ることがある。
- 乾燥すれば異音が消える場合は、大きな問題ではない。
ベルト鳴きの対策方法
ベルトの張りを調整する
- ベルトが緩んでいる場合は適切な張りに調整する。
- 一般的に、指で押して5〜10mm程度のたわみが適正範囲。
- 張りすぎると逆効果になるため、適切な張力を確認。
ベルトの交換
- ひび割れやツルツルした摩耗が見られたら、早めに交換。
- トラックのベルトは一般的に3〜5万kmで交換が推奨される。
- ベルトが2本以上ある場合は、セットで交換するのがベスト。
プーリーの清掃・交換
- プーリーにオイルやホコリが付着している場合は、清掃して摩擦力を回復させる。
- 摩耗が進んでいる場合はプーリーごと交換する。
ベルトスプレーを使用する
- 市販の「ベルト鳴き止めスプレー」を使うと、一時的に滑りを抑えることが可能。
- ただし、劣化したベルトには根本的な解決にならないため、交換を優先。
テンショナーの点検・交換
- テンショナーのスプリングやベアリングに異常がある場合は交換。
ベルト鳴きを放置するとどうなる?
ベルト鳴きを放置すると、以下のような重大なトラブルにつながる可能性があります。
放置した場合のリスク | 具体的な症状 |
---|---|
ベルトの破断 | 突然エンジン補機類が動かなくなり、走行不能に。 |
オルタネーター(発電機)の故障 | 充電ができずバッテリー上がりが発生。 |
ウォーターポンプの停止 | 冷却水が循環せずオーバーヒートの危険。 |
パワーステアリング不良 | ハンドルが重くなり運転困難に。 |
特に走行中にベルトが切れると、大事故の原因になるため、異音がしたら早めに対処することが重要です。
ベルト鳴きが発生しやすいタイミング
以下のような状況でベルト鳴きが発生しやすくなります。
エンジン始動時
→ 特に冷間時はベルトが硬くなっており、滑りやすい。
アクセルを踏み込んだとき
→ エンジンの回転が急上昇すると、ベルトに急激な負荷がかかる。
エアコンをONにしたとき
→ エアコンコンプレッサーが動き出すと負荷が増加し、ベルトに負担がかかる。
雨の日や湿度が高いとき
→ 水分が付着し、一時的に滑りやすくなる。
まとめ
ベルト鳴きの原因
- ベルトの劣化・摩耗(硬化、ひび割れ)
- ベルトの張り不足・過剰な張り
- プーリーの摩耗・汚れ
- テンショナーの故障
- 湿気や水の影響
対策方法
- ベルトの張り調整
- 劣化したベルトの交換
- プーリーの清掃・交換
- テンショナーの点検・交換
- ベルトスプレーの使用(応急処置)
放置するとどうなる?
- 最悪の場合、ベルトが切れ走行不能に
- 発電不足やオーバーヒートの原因に
- パワーステアリングが効かなくなる危険性も
トラックのベルト鳴きは、放置すると大きな故障につながるため、早めの点検とメンテナンスが重要です。
特に長距離を走るトラックの場合、定期的なチェックを行い、異音がしたらすぐに対策を取りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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