トラックのボディアースについて詳しく解説します。
これは車両の電気系統において重要な役割を果たす要素であり、特にトラックのような大きな車両ではその機能が欠かせません。
ボディアースの定義
「ボディアース」とは、車両のボディ(車体)を電気回路の一部として利用し、電気系統の負極(マイナス極)を接続する仕組みのことを指します。
車両には多くの電装品(ヘッドライト、ワイパー、エアコンなど)が搭載されていますが、これらの電装品はすべて電源が必要です。
電源にはプラス極とマイナス極があり、通常、マイナス極が車体に接続されます。
車体が「マイナス電極として機能」することで、効率的な配線を可能にしているのがボディアースの仕組みです。
ボディアースの役割
配線の簡略化
車両内の電装品すべてに個別に配線を引くのは非効率です。
ボディアースを利用することで、電装品のプラス配線のみを電源につなげばよくなり、マイナス配線を車体で共通化できます。
これにより、車両内の配線が簡略化され、コストや重量の削減につながります。
電気回路の安定性向上
車体全体を通じて電流を流すことで、電気回路の接続がより安定し、各電装品が正常に機能するようになります。
接地(グラウンド)がしっかり取れていることで、電圧の変動を抑え、電子機器の誤作動を防ぎます。
過電流や静電気の放電
ボディアースは過電流や静電気を地面(大地)に逃がす役割も果たします。
これにより、車両内の電子機器を保護し、火災や部品の故障を防止します。
ボディアースの構造
ボディアースは以下の要素で構成されています。
- アースケーブル:バッテリーの負極端子と車両のボディを接続するケーブル。
- アースポイント:ボディアースが接続されるボルトやナットの箇所。
- 電装品との接続:電装品のマイナス端子がボディに接触することでアースとして機能。
トラックでの特殊性
トラックのような大型車両では、ボディやシャシーが長いため、ボディアースの設計が特に重要です。
長い車両では以下の問題が発生しやすいです。
接地の不完全性
車体全体にわたる金属部分が正しく接続されていないと、電気が正常に流れない場合があります。
これにより、ライトが暗くなる、エンジンが始動しにくいなどのトラブルが発生する可能性があります。
腐食や錆
車両の金属部分が腐食すると、接触抵抗が増え、ボディアースが正常に機能しなくなることがあります。
特にトラックは頻繁に外部環境(雨や雪、塩害など)にさらされるため、この問題が顕著です。
強化されたアースシステム
トラックでは複数のアースポイントが設けられ、シャシーやキャビン部分それぞれにアースを分散させる設計が多いです。
また、大型トラックでは高出力の電装品が多いため、アースケーブルや接続ポイントが強化されています。
ボディアースのトラブルと対策
主なトラブル
- アース不良:接触不良や腐食が原因で電気が正常に流れない。
- 電圧降下:長い配線や接触不良によって電圧が低下し、電装品が正常に動作しない。
- 電流リーク:ボディアースが正しく設置されていない場合、不要な電流が流れる。
トラブルシューティング
- 接点の清掃:腐食や汚れを取り除き、接続部分を研磨する。
- アースケーブルの交換:劣化したケーブルを新しいものに交換する。
- マルチメーターによるチェック:抵抗値や電圧を測定し、異常がないか確認する。
- 追加アースの設置:不足している場合やトラブルが頻発する場合は、追加のアースケーブルを設置する。
メンテナンスのポイント
- 定期的にアースポイントやケーブルの状態を確認する。
- 錆止め処理や防水処理を施す。
- 電装品の追加時にはアースポイントを適切に選定する。
ボディアースはトラックの電気系統において、見えにくいながらも極めて重要な部分です。
正常に機能しているかを定期的に確認し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
以上、トラックのボディアースについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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