トラックのミッションオイル漏れは、放置するとミッションの潤滑不足や異常摩耗を引き起こし、最悪の場合、ミッションの故障につながる可能性があります。
ここでは、ミッションオイル漏れの主な原因と、それに対する具体的な対策について詳しく解説します。
ミッションオイル漏れの主な原因
オイルシールの劣化・破損
トラックのミッションにはメインシャフト、カウンターシャフト、アウトプットシャフトなどの回転部があり、それぞれの部分にオイルシール(オイル漏れ防止ゴム部品)が取り付けられています。
原因
- ゴム製のオイルシールは、経年劣化で硬化・ひび割れし、密閉性が低下する。
- 過剰な熱や摩耗によってオイルシールが破損する。
- シールの取り付けミス(ずれや変形)。
対策
定期点検:10万km以上走行した車両はオイルシールの点検を行い、ひび割れや変形が見られたら交換する。
適切なオイル管理:ミッションオイルの交換時期を守り、劣化を防ぐ。
高温環境での運転に注意:過剰な負荷をかけないよう運転し、エンジンやミッションの温度管理を徹底する。
ガスケット・パッキンの劣化
ミッションケースの接合部にはガスケット(紙やゴム製のパッキン)が使用されています。
これが劣化すると、オイル漏れの原因となります。
原因
- 長期間の使用でガスケットが固くなり、シール性が低下する。
- 取り付け時の締め付けトルク不足や歪みにより、隙間が生じる。
- 過去にミッションのオーバーホールをした際、再利用した古いガスケットが劣化している。
対策
ガスケットの交換:オイル漏れが見られたら、新しいガスケットを使って交換する。
適切な締め付け:組み付け時に適正なトルクで締め付ける。
液体ガスケットの併用:補助的に液体ガスケット(シリコンシーラント)を使用すると、シール性が向上する。
ミッションケースのクラック(ひび割れ)
ミッションケースは通常アルミや鉄製ですが、外的な衝撃や経年劣化によりクラックが発生すると、オイル漏れが起こります。
原因
- 外部からの衝撃(事故、落下物、ロードクリアランスの低い道での底打ち)。
- 内部の過剰な圧力(ミッションブリーザーの詰まりにより、内部圧力が上昇)。
- 経年劣化や金属疲労による小さなヒビが拡大する。
対策
ケースの点検:オイル漏れがひどい場合、ミッションケースを点検し、小さなクラックでも修理または交換を検討する。
適切なブリーザー管理:ミッションブリーザー(通気口)が詰まっていると、内部の圧力が上がり、オイル漏れを引き起こすため、定期的に清掃・点検する。
クラック修理:溶接修理が可能な場合は、適切な補修を行う。ただし、重大な損傷がある場合はケース交換を推奨。
ドレンボルトの緩み・シール不良
ミッションオイルの交換時に使用するドレンボルト(排出用ボルト)やフィラーボルト(補充用ボルト)の緩みやシール不良も、オイル漏れの原因になります。
原因
- 締め付け不足により、オイルが滲み出る。
- ドレンワッシャー(銅やアルミ製)を再利用すると、変形したワッシャーが密着せず、漏れやすくなる。
- ドレンプラグのねじ山が損傷し、締め付けても密閉できない。
対策
適切なトルクで締め付け:メーカー指定のトルクで確実に締める。
ワッシャーの交換:ドレンワッシャーは使い回さず、新品を使う。
ボルトの点検:ねじ山が損傷している場合は、タップを切り直すか、新品ボルトに交換する。
過剰なミッションオイルの充填
適正量以上のオイルを入れると、内圧が上がり、ブリーザー(通気口)やシール部からオイルが漏れやすくなります。
原因
- オイル交換時に適正な量を超えて入れてしまう。
- オイル補充時に目視で判断し、入れすぎてしまう。
対策
適正量を守る:ミッションオイルの規定量を確認し、規定量以上に入れない。
交換時の確認:オイル量を適切に計測し、溢れ出るリスクを防ぐ。
ミッションオイル漏れを防ぐための定期点検
ミッションオイルの漏れは突然発生することもありますが、多くは経年劣化やメンテナンス不足が原因です。
以下の点検を定期的に行い、未然にトラブルを防ぎましょう。
点検項目 | 推奨点検間隔 | 具体的なチェック内容 |
---|---|---|
ミッションオイル量 | 10,000kmごと | 減りが早くないか、オイルの色や粘度は適切か |
オイルシール・ガスケット | 50,000kmごと | ひび割れや漏れがないか |
ドレンボルト・ワッシャー | オイル交換時 | しっかり締め付けられているか、ワッシャーは新品か |
ミッションケース | 年1回 | クラックや損傷がないか |
ブリーザー | 50,000kmごと | 詰まりがないか、適切に通気しているか |
ミッションオイル漏れを発見したら
オイルの漏れ方をチェック
- 少量のにじみ:すぐに修理の必要はないが、定期的に監視する。
- 滴るほどの漏れ:早急に原因を特定し、修理を行う。
オイルの種類を確認
- ミッションオイルの色が通常と異なる場合(乳化している、異物が混入しているなど)、オイル交換も検討。
整備工場に相談
- 大きなオイル漏れはDIYでの修理が困難な場合が多いため、整備工場での点検を推奨。
まとめ
トラックのミッションオイル漏れは、オイルシールやガスケットの劣化、ケースのクラック、ドレンボルトの緩み、過剰なオイル充填などが原因です。
定期的な点検を行い、早めの対策をすることで、大きな修理費用を防ぐことができます。
以上、トラックのミッションオイル漏れの原因についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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