トラックの冷却水(クーラント)に水を入れても問題がない場合と、入れるべきでない場合があります。
以下の内容を詳しく解説します。
目次
冷却水の役割
冷却水(クーラント、LLC:Long Life Coolant)は、エンジンを適正な温度に保つための重要な液体で、以下の役割を担っています。
- エンジンの冷却
- エンジン内部で発生する高温を吸収し、ラジエーターで放熱することでオーバーヒートを防ぐ。
- 防錆・防腐食作用
- 冷却系統の金属部品(ラジエーター、ウォーターポンプ、シリンダーヘッドなど)が錆びるのを防ぐ。
- 凍結防止
- 冬場に冷却水が凍結するとエンジンの故障につながるため、不凍液成分が含まれている。
水を入れる場合の注意点
一時的な応急処置としては可能
もし冷却水が不足している場合、緊急時には 水を追加することは可能です。
特に、長距離運転中や整備工場に行けない状況では、水を入れて一時的にエンジンを守ることができます。
しかし、水を入れると以下のようなリスクがあります。
長期間使用するとデメリットが大きい
水だけを長期間使用すると、次の問題が発生します。
- 冷却性能の低下
- 純水はクーラントより沸点が低く、夏場や負荷のかかる運転時にオーバーヒートしやすくなる。
- クーラントには熱伝導性を高める成分が含まれており、水だけでは冷却効果が十分でない場合がある。
- 防錆・防腐食効果の低下
- 水道水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれており、冷却系統に スケール(カルキのような沈着物) を発生させ、詰まりの原因になる。
- クーラントには防錆成分が含まれているが、水にはそれがないため、エンジン内部の金属部品(特にアルミや鉄)が錆びやすくなる。
- 凍結のリスク
- 冬場は水だけでは凍結しやすく、ラジエーターやウォーターポンプが破損する可能性がある。
適切な対応方法
基本的には、冷却水を補充する際は適切なクーラントを使用するのがベストです。
ただし、状況に応じて以下のように対応するとよいでしょう。
緊急時の応急処置
- 水道水やミネラルウォーターを入れるのは最終手段
- できれば「蒸留水」や「軟水」を使用すると、スケールの発生を抑えられる。
- ただし、早めにクーラントを補充すること。
正しい補充方法
- クーラントの種類を確認
- クーラントには「緑色」「赤色」「青色」などの種類があり、メーカーや車種ごとに異なる。
- 異なる種類を混ぜると化学反応を起こし、冷却性能が低下する可能性があるため、必ず指定されたクーラントを使用する。
- 補充時の割合
- 一般的なクーラントは50%の濃度で使用される(クーラント50%+水50%)。
- 原液タイプの場合は、必ず水で希釈して使用すること。
- 希釈済みタイプ(そのまま使用可能なもの)もあるため、製品の説明を確認。
- 定期的な交換を行う
- クーラントは 2年~4年ごとに交換 するのが一般的。
- 長期間使用すると防錆効果が低下し、ラジエーター内にスラッジ(汚れ)が溜まりやすくなるため、定期的な交換が重要。
まとめ
状況 | 水を入れてもよいか | 備考 |
---|---|---|
緊急時(冷却水不足) | 〇 | 応急処置としては可能。ただし、できるだけ早くクーラントを補充する。 |
長期間の使用 | ✕ | 冷却性能の低下・錆の発生・スケール詰まり・凍結のリスクあり。 |
クーラント交換時 | △ | 原液タイプなら蒸留水で希釈するが、基本は専用クーラントを使用。 |
最も重要なポイント
- 緊急時のみ水を補充してもよいが、すぐに正しいクーラントに交換すること。
- 長期間水を入れて使用するのはNG。エンジンや冷却系統の寿命を縮める原因になる。
- クーラントの種類を確認し、定期的に交換することが重要。
この点を意識して、適切な冷却水管理を行いましょう。
以上、トラックの冷却水に水を入れてもいいのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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