トラックのブレーキシステムのエア圧(エアプレッシャー)が低下すると、最悪の場合ブレーキが効かなくなり、大事故につながる可能性があります。
ここでは、エア圧の低下の主な原因とその対処法について詳しく解説します。
目次
エア圧低下の主な原因
エア漏れ
エアブレーキシステムは、コンプレッサーによって圧縮空気を供給し、それを蓄えながら使用する仕組みになっています。
そのため、エアが漏れると圧力が下がります。
エア漏れの主な原因
- エアホースの劣化・破損:ゴムホースのひび割れや、金属パイプの損傷。
- 継手(カプラー)の緩み・ガスケットの劣化:接続部のパッキン(Oリング)の摩耗。
- エアタンクの腐食や亀裂:内部に水分がたまり、サビが進行して穴が開くことがある。
- ブレーキチャンバーのダイヤフラム破損:ダイヤフラムが損傷するとエア漏れが発生する。
- エアバルブの不良:リリーフバルブやエア制御バルブの劣化による漏れ。
エア漏れの確認方法
- エンジンを止め、エア圧がある状態で「シューッ」という音がしないか確認する。
- 石鹸水をかけて泡が出るかをチェックする。
- 点検時にエア圧が急激に下がるかを観察する。
対処法
- エアホースや継手を交換する。
- ガスケット(Oリング)を新品に交換する。
- 腐食したエアタンクを新品と交換する。
- エアバルブの交換やシールの補修を行う。
エアコンプレッサーの不具合
エアコンプレッサーが正常に作動しないと、十分な圧縮空気を供給できません。
エアコンプレッサーの不具合の原因
- コンプレッサーベルトの緩みや摩耗:ベルトが滑ると十分な空気を圧縮できない。
- コンプレッサーのピストンリング摩耗:圧縮不良が起きる。
- 吸入フィルターの詰まり:空気の供給が不足する。
- コンプレッサーのオイル漏れ:オイルが不足すると正常に動作しない。
対処法
- コンプレッサーベルトの張り調整や交換を行う。
- 吸入フィルターを清掃・交換する。
- オイル管理を徹底し、異常があればオーバーホールを行う。
エアタンクの水抜き不足
エアタンクには、水分や異物がたまります。
定期的に水抜きをしないと、エアバルブの動作不良や圧力低下を引き起こします。
対処法
- 毎日の点検時にドレンバルブを開けて水抜きを行う。
- エアドライヤー(乾燥機)のフィルターを定期交換する。
- エアタンクのサビが進行している場合は新品に交換する。
エアブレーキの制御バルブ不良
エアブレーキにはさまざまな制御バルブが使用されていますが、これらの不良がエア圧低下を招くことがあります。
制御バルブの種類と不具合の例
- リリーフバルブ(安全弁):異常に開いたままだとエアが漏れる。
- プリチェックバルブ:エアの流れを制御する弁が詰まると供給不足になる。
- エアブレーキのマスターバルブ:経年劣化や内部のゴム部品の損傷で動作不良を起こす。
対処法
- 異常のあるバルブを交換する。
- エアの流れを確認し、問題のあるバルブを特定する。
エア圧低下の緊急時の対応
もし走行中にエア圧が低下し、警告灯が点灯した場合、以下の対応を行いましょう。
速やかに安全な場所に停止
- エア圧が極端に低下すると、ブレーキがロックし動かせなくなる可能性があるため、できるだけ早めに安全な場所へ停車する。
エアコンプレッサーの動作を確認
- エンジンを回転させてエアコンプレッサーが作動しているか確認する。
エア漏れの有無をチェック
- シューッという音がしないか耳を澄ませる。
- ドレンバルブやホースの緩みがないか目視で確認。
走行を中止し、修理を依頼
- 重大な故障の場合は無理に走行せず、整備工場やロードサービスを手配する。
エアブレーキのエア圧を維持するための予防策
トラックのエアブレーキは、定期的な点検とメンテナンスを行うことでエア圧低下を防ぐことができます。
日常点検の徹底
- エアタンクの水抜きを毎日行う。
- エア圧ゲージのチェックを習慣化する。
- ブレーキ作動時に異常な音(シュー音)がしないか確認する。
定期点検と部品交換
- エアホースやバルブ類の劣化を定期的に点検・交換する。
- エアドライヤーのフィルターを定期的に交換する。
- エアコンプレッサーのベルトとオイル管理を徹底する。
まとめ
エア圧低下の主な原因
- エア漏れ(ホース、継手、バルブの劣化)
- エアコンプレッサーの不具合
- エアタンクの水抜き不足
- 制御バルブの不良
対処法
- エア漏れを発見し、ホースやバルブを交換する。
- エアコンプレッサーのメンテナンス(ベルト、オイル、フィルター交換)を行う。
- 毎日の水抜きを徹底し、エアタンクのサビを防ぐ。
- 定期点検で部品交換を行い、ブレーキの安全性を維持する。
トラックのエアブレーキは、安全運行に直結する重要なシステムです。
日常的な点検と早めの修理対応を心がけ、エア圧低下によるトラブルを未然に防ぎましょう。
以上、トラックのブレーキエア圧低下の原因と対処法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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