トラックのサイドブレーキ(パーキングブレーキ)は、車両を静止させるための補助ブレーキであり、主に駐車時に使用されます。
乗用車と比べてトラックのサイドブレーキはより強力で、ブレーキの構造や作動方式にいくつかの種類があります。
目次
サイドブレーキの基本的な役割
サイドブレーキの主な役割は、以下の通りです。
- 駐車中に車両が動かないように固定する
- 長時間の停車時にメインブレーキの負担を軽減する
- エアブレーキを使用する車両では緊急時に作動するバックアップブレーキとして機能する
乗用車ではワイヤー式の機械的なサイドブレーキが多いですが、大型トラックでは エアブレーキ(空気式) を利用した スプリングブレーキ方式 が主流です。
トラックのサイドブレーキの種類
トラックのサイドブレーキには、主に以下の2種類の方式があります。
機械式(ワイヤー式)
仕組み:
- 乗用車と同じように、レバーやペダルを引くことでワイヤーを引っ張り、ブレーキドラム内のブレーキシューを押し付けることで制動をかける方式。
- 軽トラックや中型トラックの一部に採用される。
メリット:
- 構造がシンプルで故障しにくい。
- エア漏れの心配がない。
デメリット:
- 大型車両には制動力が不足する。
- 長時間の駐車ではブレーキが弱くなる可能性がある。
エア式(スプリングブレーキ方式)
仕組み:
- 圧縮空気の力でブレーキを解除し、スプリングの力でブレーキを作動させる方式。
- 通常のエアブレーキと異なり、サイドブレーキは 空気圧が抜けると作動 し、エア圧をかけると解除される仕組みになっている。
- 大型トラックやバスに広く採用されている。
動作の流れ:
- 走行中(ブレーキ解除状態)
- 車両のエアタンクから圧縮空気が供給され、スプリングを押し戻してブレーキが解除される。
- サイドブレーキ作動時
- サイドブレーキレバー(またはダイヤル)を操作すると、エア圧が抜ける。
- 内部のスプリングが強い力で押し戻され、ブレーキをかける。
- エア漏れや故障時
- エア漏れが発生すると、自動的にスプリングの力でブレーキが作動し、車両が停止する。
- これにより、エアブレーキシステムの異常時でも車両が勝手に動き出さないように設計されている。
メリット:
- 強力な制動力を持つため、大型車両でも確実に駐車できる。
- エア漏れが発生しても自動的にブレーキがかかる安全設計。
デメリット:
- エアブレーキシステムの故障時に解除できなくなることがある(エア圧がないと動かせない)。
- メンテナンスが必要。
トラックのサイドブレーキの操作方法
機械式(ワイヤー式)の場合
- 一般的に、ハンドブレーキレバーまたはフットペダルで操作。
- レバーを引くとワイヤーが引っ張られ、リアブレーキが作動する。
エア式(スプリングブレーキ)の場合
- ダイヤル式のスイッチ(赤色のノブ)を 引く とサイドブレーキが作動。
- 解除するには、エンジンをかけてエア圧を上げた後、ノブを 押し込む。
サイドブレーキのトラブルと対処方法
エア漏れによるサイドブレーキのロック
- サイドブレーキが解除できない場合、エア漏れが原因の可能性がある。
- エアコンプレッサーを点検し、エアタンクの圧力が正常か確認する。
機械式ワイヤーの固着
- 長期間使用しないとワイヤーが固着し、ブレーキが解除できなくなることがある。
- ワイヤーを動かすか、潤滑剤を使って解消する。
冬季のエアブレーキ凍結
- 冬の寒冷地では、エアライン内の水分が凍結し、ブレーキが解除できないことがある。
- 対策として、エアドライヤーを定期的にメンテナンスし、水分を抜く。
まとめ
トラックのサイドブレーキには「ワイヤー式」と「スプリングブレーキ方式(エア式)」の2種類があり、大型トラックでは エア式スプリングブレーキ が一般的です。
この方式では 空気圧が抜けるとブレーキが作動する 仕組みになっており、安全性が高いのが特徴です。
サイドブレーキのトラブルには エア漏れ、ワイヤーの固着、冬季の凍結 などがありますが、定期的なメンテナンスを行うことで未然に防ぐことができます。
以上、トラックのサイドブレーキの仕組みについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バスやトラック、キッチンカーのラッピングは、シーモアシー株式会社にお任せください。