トラックのミッション(トランスミッション)の故障は、車両の運行に深刻な影響を及ぼします。
トランスミッションはエンジンの動力を適切に伝え、トルクを調整する役割を持っています。
故障の原因はさまざまですが、大きく分けて以下のような要因が考えられます。
ミッションの故障原因(マニュアル・オートマ共通)
潤滑不良(オイル不足・劣化)
トランスミッションには専用のオイル(ATFまたはMTオイル)が必要ですが、不足や劣化が原因で摩擦が増え、異常摩耗や焼き付きが発生することがあります。
- オイル不足の原因
- オイル漏れ(シールの劣化、ガスケット破損)
- 長期間の交換未実施
- オイルの蒸発や劣化
- 症状
- シフト操作が重い・引っかかる
- ギアが入りにくい
- 異音(ゴロゴロ、ガリガリ音)
クラッチの摩耗・故障(MT車)
マニュアルトラックではクラッチの摩耗がトランスミッションの不調に直結します。
- 原因
- クラッチディスクの摩耗
- クラッチカバーの劣化
- クラッチレリーズベアリングの損傷
- 症状
- クラッチペダルが重い・軽すぎる
- クラッチが滑る(加速が悪い)
- ギアがうまく入らない
シフトリンケージの不具合(MT・AT共通)
シフト操作を伝えるリンケージ(ケーブルやロッド)の損傷やズレが原因で、正常なギアチェンジができなくなることがあります。
- 原因
- ケーブルの摩耗・断裂
- ロッドの曲がりや緩み
- 症状
- シフトレバーが動かない・引っかかる
- ギアが勝手に抜ける
オートマチックトラック(AT)の故障原因
オートマチックトランスミッション(AT)のトラブルは、特にオイルの管理や電子制御部品の不具合によるものが多いです。
ATFの劣化・不足
オートマオイル(ATF)は、トルクコンバーターやギアの作動に不可欠で、劣化するとスムーズな変速ができなくなります。
- 原因
- 長期間交換していない(10万km以上無交換)
- オイル漏れ
- 症状
- シフトショック(変速時に衝撃がある)
- 加速不良(ギアが滑る)
トルクコンバーターの故障
トルクコンバーターはエンジンの動力を流体で伝える装置で、故障すると変速不良やパワーロスが発生します。
- 原因
- 内部の羽根車の摩耗
- ロックアップクラッチの故障
- 症状
- 停車時のアイドリング不安定
- 発進が重い、加速が悪い
ソレノイドバルブの不具合
ATの変速を電子制御するソレノイドバルブが故障すると、適切なギアチェンジができなくなります。
- 原因
- 電気系統の故障(断線、コンピュータのエラー)
- バルブの詰まり(オイルの汚れ)
- 症状
- 変速しない(2速固定など)
- ギアが勝手に変わる
ミッションの物理的な損傷
オイル管理や電子部品の問題以外にも、物理的な損傷による故障があります。
シンクロメッシュの摩耗(MT車)
ギアの噛み合わせをスムーズにするシンクロメッシュが摩耗すると、ギアが入りにくくなります。
- 原因
- ギアチェンジの乱暴な操作
- シンクロリングの劣化
- 症状
- ギアが入りづらい(特に2速や3速)
- 異音(ギア鳴り)
ギアやベアリングの破損
内部のギアやベアリングが破損すると、走行不能になることもあります。
- 原因
- 金属疲労(経年劣化)
- 無理なシフト操作(高負荷時のギアチェンジ)
- 症状
- ガリガリ音
- 走行不能
トラックのミッション故障を防ぐ方法
オイル管理を徹底する
- ATFの交換時期: 5~10万kmごと
- MTオイルの交換時期: 2~5万kmごと
- 定期点検: オイル漏れがないか確認
正しいシフト操作を心がける
- MT車: 半クラッチを多用しない、無理なギアチェンジを避ける
- AT車: PレンジからDレンジへの切り替えは完全停止してから行う
電子部品のチェック
- AT車ではECU(制御コンピュータ)の診断を受ける
- センサーやソレノイドバルブの作動確認
まとめ
トラックのミッションの故障は、オイルの劣化や不足、クラッチや電子制御の不具合、物理的な損傷などが主な原因です。
特にAT車は電子制御が多いため、診断機を使ったチェックが必要になります。
対策としては、オイル交換を定期的に行い、無理な操作を避けることが重要です。
特に異音やシフト不良を感じたら、早めに点検することで大きな故障を防げます。
以上、トラックのミッションの故障原因についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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