トラックのバッテリーは、大型で高出力な電力を供給するため、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
バッテリー液(電解液)の補充は、その維持管理の中でも重要な作業のひとつです。
ここでは、トラックのバッテリー液補充の方法を詳しく解説します。
目次
バッテリー液補充の必要性
なぜバッテリー液の補充が必要なのか?
バッテリー液(電解液)は、希硫酸(水と硫酸の混合液)でできており、バッテリー内部の化学反応により電気を発生させます。
以下の理由で、定期的な補充が必要になります。
- 蒸発による液量の減少
- 使用環境(高温・低温)によって蒸発が進み、液面が低下。
- 充電時のガス発生
- バッテリー充電時に水素ガスと酸素ガスが発生し、一部の水分が失われる。
- 液不足によるバッテリー性能の低下
- バッテリー液が不足すると、極板が露出し、電気化学反応が正常に行われなくなる。
- これにより、バッテリー寿命が短くなり、最悪の場合は使用不能になる。
バッテリー液の補充前に準備するもの
必要な道具
必要な道具 | 用途・説明 |
---|---|
バッテリー液(精製水) | 一般的には市販の「補充液(精製水)」を使用。希硫酸は補充しない。 |
ゴム手袋 | 希硫酸は強酸性のため、手を保護する。 |
ゴーグルまたは保護メガネ | 目に入ると危険なので、目を保護する。 |
スポイトまたはじょうご | 液体の補充を正確に行うために使用。 |
ウェス(布) | 液体がこぼれた際に拭くために使用。 |
プラスドライバー(必要に応じて) | バッテリーキャップがネジ式の場合に使用。 |
補充前の安全確認
- エンジンを停止し、キーを抜く。
- 火気厳禁!(バッテリー周辺では火花や煙草などに注意)
- バッテリーが冷えている状態で作業を行う。
- 作業は風通しの良い場所で行う。(ガス発生を防ぐため)
バッテリー液の補充手順
バッテリーの状態を確認
- バッテリーの配置を確認する
- トラックのバッテリーは運転席の下や車両側面に配置されていることが多い。
- カバーがある場合は、外してバッテリーを露出させる。
- 液量の確認
- バッテリーの側面にはLOW(下限)とUPPER(上限)の目盛りがある。
- 液量がLOW以下になっている場合は補充が必要。
バッテリーキャップを開ける
- バッテリーの上部にあるキャップを取り外す。
- キャップはねじ込み式やはめ込み式になっている。
- 固くなっている場合は、ゴム手袋を装着して慎重に回す。
- 内部の液面を確認
- セルごとに電極(極板)が見えていないかチェック。
- 極板が露出している場合は、バッテリーの寿命が近い可能性もある。
バッテリー液の補充
- 精製水を補充
- LOWとUPPERの間(適正範囲)まで補充する。
- 入れすぎると、充電時に液があふれる可能性があるので注意。
- 「バッテリー補充液(精製水)」を使用し、希硫酸は補充しない。
- ※希硫酸を追加すると濃度が変わり、バッテリーの性能を損なう。
- じょうごやスポイトを使う
- こぼれないように慎重に補充し、極板を完全に浸す。
キャップを締める
- しっかりとキャップを閉める。
- バッテリー周辺の汚れを拭き取る。
- 作業後、手をよく洗う。
バッテリー液補充後の確認
エンジン始動テスト
- バッテリー液を補充後、エンジンを始動して異常がないか確認する。
- セルモーターの回りが遅い場合は、充電が必要な可能性がある。
充電電圧の測定(必要に応じて)
- バッテリーの正常な電圧:12.6V~12.8V(エンジン停止時)
- エンジン始動後の電圧:13.5V~14.5V(オルタネーターの発電が正常な場合)
バッテリーテスターやテスターを使用すると、より詳しく状態を把握できる。
バッテリー液補充時の注意点
希硫酸は絶対に補充しない。
液を入れすぎるとあふれるため、適量を守る。
作業中は火気厳禁(爆発の危険あり)。
バッテリーが劣化している場合は、新品交換を検討。
補充後も電圧が低い場合は、オルタネーター(発電機)やバッテリー本体の不具合を疑う。
バッテリー液の補充頻度
バッテリー液の減少具合は使用環境や車両の状態によりますが、1~2ヶ月に1回は点検すると安心です。
こんな場合は交換を検討
- バッテリー液を補充してもすぐ減る → バッテリー内部の劣化の可能性
- エンジンのかかりが悪い → バッテリーの寿命が近い
- 電圧が正常範囲外 → 交換または充電が必要
まとめ
- バッテリー液の補充は精製水を使い、希硫酸は補充しない。
- LOWとUPPERの範囲を守る。
- 火気厳禁で、安全装備を準備。
- 定期的な点検でバッテリー寿命を延ばす。
これでトラックのバッテリーを適切に維持できるでしょう。
以上、トラックのバッテリー液補充の方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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